准教授:児玉谷 仁

住所:890-0065 鹿児島市郡元1-21-35 鹿児島大学理学部
研究室のある位置:理学部2号館3階328号室
電話とFAX番号:電話 099-285-8108 Fax 099-259-4720
電子メール:kodamasci.kagoshima-u.ac.jp

研究・教育の紹介

高感度HPLC分析法開発

主に化学発光検出法(化学物質を光に変えて検出する方法)を利用した分析法を開発し,その分析法を利用して環境,生体,食品などに存在する有害化学物質の動態を研究しています.

水銀の化学形態別分析法の開発と応用

水銀汚染問題は日本では過去に起こったことですが,世界的には現在進行形で起こっている問題です。「水銀に関する水俣条約」の採択もあり,途上国でも利用できる簡易で高感度な有機水銀分析法の確立を進めてきました。 原理的には水銀と強く結合し,かつRu錯体と強い化学発光を起こす物質を利用して,水銀化合物に目印をつけ,それを高速液体クロマトグラフィーで分離し,Ru錯体の化学発光により検出する方法になります。 これまでの研究で,すでに既存の手法より簡易な分析法になっていますので,現在は応用研究を進めつつ,分析法の改良を進めている状況です。 応用研究としては,妙高山(新潟県),イトムカ水銀鉱山(北海道)など様々な水銀濃度が高い地域の水銀挙動調査を進めてきています。一般的に底質のような還元的環境でメチル水銀が生成することが知られていますが, 森林土壌などでも高濃度にメチル水銀が存在し,またその生成等についてほとんど情報のないエチル水銀も森林土壌に普遍的に存在していることが明らかになってきました。 また,フィールド調査のみから得られる情報は限られるので,水銀汚染を受けた土壌からどのようにメチル水銀ができて,そしてどのような影響を周辺環境に及ぼすのかについて,モデル実験を通し理解しようと試みています。 (特に現在は「水田」をターゲットにしてモデル実験を進めています。)

ニトロソアミン類の超高感度分析法の開発と応用

水が豊かな日本ではあまり問題になっていませんが,水資源の確保は世界的な問題です。飲用水を確保するために様々な技術が開発されてきていますが,それによって新たに生じる問題もあります。ニトロソアミン類は発がん性のある物質として古くから知られていますが, 最近,浄水処理過程で生成することが明らかになりました。しかも,より安全でおいしい水を目指して開発された高度浄水処理(オゾンなどを使用した浄水法)で特に高濃度に生成することが確認されています。結果,世界各地でng/Lの非常に厳しい規制値が設定されつつあります。

これまでの研究で,sub-ng/Lのニトロソアミン類を迅速に測定できる分析法を確立してきました。原理的には,ニトロソアミン類を液体クロマトグラフィーで分離後,オンラインで紫外線を当てて,ニトロソアミン類を分解します。分解してできた物質を ルミノールの化学発光で検出するシステムとなっています。現在はこのシステムを利用して,鹿児島市水道局のご協力の下,浄水場でのニトロソアミン類のモニタリング,長崎大学などと協力してニトロソアミン類の生成抑制や除去技術の開発を進めています。

スライドこの1枚

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左上)ルテニウム錯体の化学発光反応,右上)ルミノールの化学発光反応,左下)水銀汚染土壌での稲育成,右下)妙高山南地獄谷(新潟県)でのサンプリング

研究室への配属希望者へ

実験が好きな人向きの研究室です。私自身専門は分析法開発ですが,最近は各地のフィールド調査や稲を特定環境で育てるモデル実験など様々な研究をすすめています。 まずはやってみるをモットーに頑張りましょう!。

研究室行事は、冨安先生・神崎先生と一緒に行います。